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北斎に感激したユーゴ人
2007-06-26
昨年亡くなったロシア語通訳者の米原万里さんの書かれた「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」という本を読んだ。旧ユーゴの事についての情報を得る為の一環だった。

話の中で、プラハに暮らす絵画好きな中学生のユーゴ人ヤースナが、「私の神様はこれ!」と言ってホクサイの「赤冨士」の図録をマリに見せるシーンがある。

こんなシーンで葛飾北斎がでてくるなんて予想もしていなかったのでびっくりした。そして、1960年代前半の社会主義圏でさえも、浮世絵画家北斎は有名だった事を知った。

スラブ圏であるユーゴスラビアは、西欧とは少し違った民族である。ラテンやゲルマンよりも、スラブ人というのはアジア人に近い。それは地理的にという意味と共に、顔つきにおいても。そして美術的感性においても、アジア的な要素を持っているそうだ。

ヤースナが北斎に惹かれるのは民族の血にもよるところだと語っている。

**
ここまで読んで、書棚に長い間眠っていた北斎の図録を引っ張り出してきた。10年以上も前の大回顧展の時に買ったものだが、正直あまり読んでいなかった。

ユーゴ人の感性をも刺激したホクサイの作品を、十年前より少しは理解できるかと思ったのだ。

結果は、、、、まだまだホクサイの魅力をしっかり理解するには壁が厚いと認識した。自分の血の中にあるものをしっかり評価できるようになる為にはまだまだ私は若すぎるらしい(笑)

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