現実を伝えるとは残酷さも端折る事なく見せるという事である。その姿勢がなくてはドキュメンタリーも報道も公正さを欠くことになる。
中国のサファリパークで生きた牛がエサにされている事を海外のBBC放送で知った。帰国した私は、それを放送する日本のテレビでは、同じBBCの映像を編集して放送している事を知った。
http://komatsusin.hopto.org/koma/modules/news/これでは真実は伝わらないのではないか?
海外でニュースを見ている日本人は、同種の感想を持つらしい。
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書棚にあった講演会の冊子である。
日頃講演会をやらない塩野七生さんが、1998年に「21世紀にどうやって入っていくか」という大学生を対象にしたやっていたもの。
以下は、ライオンの群れでボス交代があると、先代のボスの子供ライオンが殺されるという場面を撮ったBBCの番組について話されている部分である。
「・・・ところが、それと全く同じドキュメンタリー番組が日本の放送局で放映されると、そういう場面がカットされてしまうんですね。なぜそんな事をするのかと言いますと、つまり、日本人にとっての動物というのはかわいいもので、その動物同士がーしかも同種の動物の間でも殺しあうというような場面を見せてはいけないというか、避けたほうが無難だという事です。日本のマスメディアでは、とかくそういう事がなされていると思います。」