表題のような疑問を持った人は少ないかもしれない。
私もそんな事は深く考えた事はなかった。
先日、高校講座「食と農業の世界地理」という地味な番組で紹介されていた事実を見ていて、はっと気付いた。
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敗戦国日本を占領したアメリカは考えた。
「アメリカで生産する小麦を日本でももっと売れるようにしよう」
憲法制定の経緯でも分かるように、当時アメリカさんの言う事は絶対であった。しかし、無理やり「小麦を輸入せよ」と言っても日本人はついてこないだろう。あくまでも自由意志で日本が輸入するように誘導していくのが最良の策である。
昭和22年、やっと全国的に給食が再開されると、アメリカは脱脂粉乳を無償供与した。「白米の過食は短命のもと」という新聞記事も載った。昭和25年にはアメリカ産の安い小麦を使ったおなじみコッペパンが給食に登場する。
これ以降現在に至るまで“給食=(基本的に)パン食”という図式が続いている。
※参考に学校給食の変遷写真です。
http://www.juk2.sakura.ne.jp/rekisi.html我々の世代は、何の疑問もなく学校給食はパン食と思っていたべていた。それが、「何故か?」などと考えた事もなかった。
しかし、戦前を見ると明治22年の学校給食スタートから一貫して、米を中心とする日本食が当然であったのだ。よく考えてみると日本の給食がパン食である方が不自然ではないだろうか。
もし、占領アメリカ軍が国家政策としてアメリカの小麦を日本に売ろうと考えなければ、学校給食は米食のままだったのではないだろうか。先々に日本人の食生活がこれほどまでに「米離れ」を起す事もなかったのではなかろうか。
日本国内で減反に次ぐ減反が行われて、日本の米農業が補助金漬けになるような事態もやってこなかったかもしれない。これは、希望的仮定だろうか?
いずれにしても占領軍が「静かに上手」に行った日本人の食に対する操作は、60年後の今日大きな実を結んでいるように見える。