何の予備知識もなく見た。
アメリカへ移民したカルカッタ出身のインド人とその子供世代の話。ロシア人作家ニコライ・ゴーゴリから名付けられた息子がその名前に違和感を持って生きている事が軸になって話が展開していく。が、それ以上の内容を語っている。物語を自分の経験に重ね合わせる移民の多いアメリカでヒットするのはよく分かる。
http://www.foxsearchlight.com/thenamesake/一方、日本人がどの程度この映画の描く葛藤を理解できるのだろうか。あるいは、こういう葛藤が日常として存在する世界がアメリカなのだと知ることが、我々には意味がある。
映像的に記憶に残ったところ。
カルカッタの町にかかるハウラー橋が印象的に描かれている。カルカッタに行った事のある人ならば必ずや覚えている。私もまだ一度しか行っていないこの町だが、あの橋を象徴的に覚えている。
この橋とシンクロするようにニューヨークの同じような鉄骨の橋を登場させているのもおもしろい。
後日知ったが、原作者はロンドン生まれのインド系アメリカ人女性。彼女もインタビューの中でハウラー橋の強烈な印象について言及していた。
タージ・マハルの素晴らしさもストーリーの転機になっている。見たこともなかった祖国の文化に直接触れて湧き上がってくる誇らしさ。名前と共に自分が生まれながらに寄り添って生きているもの。子供の時代には意識しないもの。これを理解する瞬間に人は大人になるように思えた。
よく考えてみると、自分自身京都に何年も通って学生時代をすごしていたのに、日本の文化をほんとうに素晴らしいと感じ始めたのは、ごく最近の事である。やっと大人になった・・・か(笑)。