ルーブル美術館内「アンリ二世の間」にこんな天井画を描いたのはジョルジュ・ブラック。ブラックはピカソとほとんど同い年、これを描いたのは1953年。70歳を過ぎた頃になる。
アンリ2世は十六世紀半ばの王。その時代のこの古典的な部屋の装飾を背景にブラックに描かせようという発想。それを支持する「おえらいさん」がいて、資金を出す人があるという事実。この点がルーブル美術館のスゴサなのである。
ルーブル美術館はただの古いものを維持展示する美術館ではない。多くの(どことは言わないが)古典有名作品を所蔵する美術館が、保守的=守りの姿勢で運営されているのに比べ、ここルーブルは明らかに常に表現の最先端に立とうとする気概が感じられる。
これは半世紀以上も前からの伝統だったわけだ。
ルーブル美術館は、モナリザやミロのヴィーナスを見に来るだけの場所ではない。