午前ベネチア観光、昼食後バスにてフィレンツェへ移動・・・の筈だった。
14時45分過ぎ、待ち合わせのローマ広場へ行ってみると荷物はついていたが肝心のバスがいない。きのうまでと同じバスだったので、運転手さんに電話してみる。「バッテリーが故障してエンジンがかからない」との事。この連絡はすでにバス会社にしたそうだが、肝心の我々まで届いていなかったのだ、やれやれ。
イタリアのバスではあるが、今回手配元T社本社であるロンドンからオーダーが入っている。ロンドンからバス会社へそしてバスの運転手にもどのぐらいで修理できるのかを訊いてもらう。あるいは代替のバスがすぐにて手配できるのかどうか、である。
「もうすぐ修理出来ます。行けます。」とまぁ、蕎麦屋の出前の様な返事が返ってきた(笑)。信じます?いえいえ、いままで何度もバスの故障に遭遇してきた経験からして、そんなにすぐに直ってやってくる事は期待できないと直感。こういう直感はだいたい正しい。
「いや、『すぐに』来るって言っても『何時』なになるんでしょう?(笑)、もう電車でフィレンツェに行くようにしたいんですが」と言うと、ローマの支店の人も「んん、その方がいいかも(笑)・・・」という反応。ただ、立場上ロンドンがOK出さないとローマの支店では手出しできない。
「電車は何時にあります?」とイタリア人アシスタントさんに尋ねるとすぐに調べてくれた。「15時32分の後は16時32分ですね。2時間半ぐらいで着きます。」
すでに時間は15時15分になろうとしている。早い方の電車に乗るならばすぐに駅へ向かわなくてはならない。ロンドンにお伺いをたてる「電車に変更して良いですか?」「いや、もう少しで直って来るそうですから、お待ち下さい」。こんなやりとり。ま、ロンドンとしてはかなりの出費になるわけだからできるだけバスで行ってほしいのはわかる。
「じゃ、16時まで待ちます」
この時間がフィレンツェの夕食を予定通りの時間で食べられるぎりぎりの時間である。それに待ってもらっている皆さんも1時間がのんびりしていられる限界だろう。幸い良い天気。皆さん日陰でのんびり座って休憩。これで結果オーライにもっていければ、「あんなこともあったね」で納められるか。
時計はまわる。
16時近くになってもやっぱりバスはやって来ない。ロンドンはあいかわらず『蕎麦屋の出前』。だれもOKを出さないのであれば、よし!最後は自分でGOを出すだけ。今がその時である。
「じゃ、あと荷物お願いします!」と言うと電話していたアシスタントさんは「え?」という表情。でも、手を上げてにっこりしてくれました。★写真はその時のものです。
スーツケースまで持って列車に乗るのはかなりの負担なので、これはあとからバスで運んでもらう事にした。アシスタントの方には申し訳ないが荷物のお守りをしてもらわなくてはならない。
駅へ着くと16時15分。切符をイタリア版みどりの窓口へ買いに行く。席があるかが心配だったが、幸い空いていた。
16時25分、すでに6番線に入線していたユーロスター二等指定席に乗車。ホッとひと息。
19時23分過ぎにフィレンツェ、サンタ・マリア・ノベッラ駅に到着。幸い今日の夕食のレストランは駅の近く。これも運が良いといえるだろう。
21時過ぎに夕食を終え、ホテルまで歩いていく。もともとフィレンツェの旧市街はバスの侵入が制限されているので徒歩でホテルから往復する予定だった。考えようによっては片道歩く手間が省けたということ。
21時30分。ホテルに到着しチェックインしていると、ほどなくベネチアで修理を終えたバスが我々のスーツケースと共に到着した。
「災い転じてユーロスターに乗る」の一日であった。