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ガンゴトリ変貌
2007-05-12
ケーブルテレビの番組でインドの聖地についてやっていた。そこで思いがけなくガンゴトリが映し出された。ここはガンジス川の水源への道。電気も通っていない辺境の地・・・であった、私がいった1980年代末には。確かに「辺境の地」であった。
デリーからバスでリシケシあたりまでは町も大きく「ホテル」と呼べる宿泊施設であった。その先ウッタルカーシーもまだよい。そこから先が道も急に悪くなり、のこぎりの歯のように切り立った山が見えてくる。標高三千メートルのガンゴトリにたどり着くと電気の通っていないツーリストバンガローしかない。当時同行したガイドは「予約するのにもわざわざ来たんだ」と言っていた。
夜になると一本の蝋燭だけが部屋の照明。夜、ごうごうと鳴る雨風の中、屋外の真っ暗な掘ったてトイレまで行った記憶がある。日本から持ってきた簡易目覚ましの文字盤用ライトがとても明るく役立った。
そこからガンジスの水源氷河のあるゴームクまではもう車の道はない。途中サードゥ(修行僧)がそこここに暮らしているのに出会う。そんな場所で、その一軒(?)に招かれてお布施を出さされた(笑)。ま、そんな場所だった。
しかし、今日テレビに映し出されたガンゴトリはどう見ても山岳リゾートの風情である。インド系カナダ人のレポーターが、「近年道も良くなり楽にこられるようになって来ました」とコメントし、華やかはな観光客向けのダンスに参加していた。へぇ〜、ガンゴトリにそんなものまで登場してしまったんだ。当時に比べると快適そうなホテルらしきものも出来ているよう。都会のようでなとも、「辺境」とはとても呼べない場所に変わってきている様に見えた。ガンゴトリから奥のゴームクにだってどんどんツーリストがやってきているだろう。
「聖地」というのがこんなに簡単に近づける時代になってしまうと、あらゆる神様の存在は危うい。お化け妖怪も皆「枯れススキ」と化してしまうのではないだろうか。
もっとも本当の「聖地」というのは、各一人ひとりの心の中に存在するもので、これらはデリーや東京のど真ん中に住んでいようと生き永らえることが出来る。ただし、その人の精神の強さ=信仰(とよべるかもしれない)が必要なのだろうけれど。
ひとは奇跡や超常現象という、端的な驚きを見せられるとヨワイ。弱い精神はそういったインスタントなものにすがろうとする。昨今の占いやオカルト的なものが流行る傾向は、そこに要因があるように見える。
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