某世界遺産番組でもやっていたが、このカルカソンヌの城壁を彩るとんり屋根は実は修復家の創作なのだそうだ。19世紀、荒廃してた城壁群を修復したヴィオレ・ル・デュック氏は北フランスの城砦を修復してきた経験から南部フランスにはないこういったとんがり屋根で城砦を修復してしまった。時はナポレオン三世時代。中世のパリも取り壊されて新しい美しいものが賞賛されている時代、修復にあたってのコンセプトが「歴史に忠実に」ではなく「より美しく」であった事がわかる。
しかし、それでは本当のカルカソンヌの中世の城壁スタイルがどのようなものであったのだろうか?下記でイメージを見ることが出来る。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:2005-08-24-Carcassonne-Tours_gallo-romaines.jpgこれでも充分きれいじゃないか〜、と思う。こちらの方が正しいのならばやはり史実に忠実なスタイルで修復すべきであった。
もしも、現代の修復でこんな創作が行われたとしたら、それがどんなに美しく仕上がったとしても、文化遺産の破壊と認定される事は間違いない。
そしてそれをユネスコが世界遺産に指定することなどありえない。
こう考えてみるとユネスコ世界遺産というのも、けっこう「柔軟な運用」をしているわけか。史実復元でなく創作修復であったもそれが百年も経ってしまえば「世界遺産」となっているという発想なのか。