アマルゴサといってもどれほど知られているのだろうか。私も全然しらなかった。ガイドしてくれた人が「ここは踊る人がいて、公演の日には行列が出来たりするんですよ」と教えてくれたので興味を持ったのだ。
ラスベガスからデス・ヴァレーへ行く途中。デス・ヴァレー・ジャンクションという場所にある、劇場とホテルである。
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ちょっと調べてみて興味を持った。
ここはマルタ・ベケットというひとりのダンサーが、いわば自分を女神としてつくりあげた聖地=アトリエなのだ。
新聞記者の娘だった彼女は舞台が好きで、3歳の頃から週に一度は父のパスを持ってステージを見に行っていた。9歳の頃にはその才能を認められて、ピアノやダンスの英才教育を受けていた。長じて彼女はダンサーになり、ブロード・ウェーのミュージカルにも多数出演していた。
1962年、結婚しカリフォルニアに移る。彼女の運命を決める旅は1967年、夫と共にキャンピングカーでデス・ヴァレーに旅行した時。ある朝起きてみるとタイヤがパンクしていた。修理の為にデス・ヴァレー・ジャンクションにやってきた時、彼女はアマルゴサホテルのまわりを探検してみた。ながい渡り廊下の先をまがると、不意に打ち捨てられた大きな建物が見えた。破れたドアから中を覗いてみると、なんと小さな劇場ではないか。荒廃したステージだったが、彼女はそこで踊るもうひとりの自分自身を見ていた。「ここが私が自分の踊りを発表する場所なのだ」と霊感に打たれた彼女は、すぐにここを手に入れる。
翌1968年2月10日、ついに彼女は自分のパフォーマンスを初演したのだった。観客はたったの12人だった。
彼女は自ら劇場の天井や壁にも絵を描き出す。何年もかけて納得するまで描かれた作品でこの劇場は埋められているそうだ。
2007年の今年もまだこのパフォーマンスは続けられている。彼女自身もいまだに出演しているのだろうか?どんな人たちがどんなものを見せてくれているのだろうか。