「わぁあ〜!」と思わず声の上がる奇観。
ブライス・キャニオンは「フードゥー」と呼ばれる赤い岩が林立している。ポーンソーガント台地を水と風が六千万年かけて浸食して出来た地形だそうだ。今も谷からは強く風が吹きつけてくる。この風が浸食するもろい岩はぼろぼろに崩れ、人間の想像をはるかに超えた造形を見せてくれる。
※この日の写真は「手作りの旅・写真集」のコーナーに載せております。
今日は近く(ルビーズ・インという老舗の宿)に泊まる。15時前には着いたのでゆっくり時間がある。忙しいツアーだとポイントで写真を撮って回るだけだけれど、今日は少し歩いてみたい。
雲が多い空だけれど、時折太陽が射してくるとフードゥーが赤く輝きだす。これはほんとうに見飽きない光景だ。ゆっくり太陽を待つ時間が今日はある。
インスピレーション・ポイントからサンセット・ポイントまで歩く事にした。これだとゆるい下り坂をリムに沿って歩き、右手にこの光景を見下ろしながら歩く事が出来る。
寒い。標高は2400mほどになる。雪も残っている。空は雪雲が今にも本領発揮しそうな様子。途中、ご〜っと風が鳴ってぱらぱらと白いものが落ち始めた。「雪だ」と皆思ったが、頭に手を当ててみるとそれは谷底から吹き上げられてきた砂粒だった。
30分ほどでサンセット・ポイントに到着。ゆっくり歩いていると崖の下の割れ目から人が顔を出しているのが見えた。それほど遠くない様子。「それじゃ、行って見たいですね〜」時間があるのはほんとに嬉しい。
フードゥーの谷の下へ降りていく道はいくつもあるが、崩れて使えなくなっている場所もある。どこも足元はそれほど良くない。日本ならこんな観光地は柵を張り巡らし、手すりを設置しなければ見学者から「危ないじゃないか」というクレームが来るのだろうが、ここではそんなものはもちろんない。危険というのは本来自分が判断すべきものなのだ。
さっき見えていた岩の窓へは割合簡単に到達できた。少しでも岩の中に入っていくと、全く違った光景が展開し始める。降りてくる価値はとてもあるのだ。
この1時間ほどゆっくりしている間に空はどんどん様子を変えて、太陽が美しくフードゥーを見せはじめた。
ビジターセンターは一見の価値がある。どうやってこの地形が存在するのか、グランドキャニオンも含めた周辺を含めてしっかり解説してくれている。マウンテン・ライオンやハリネズミの剥製、植物や星についてまで解説がある。私が特に興味があったのは、初期の探検家や入植者についてのコーナー、19世紀終わりから20世紀はじめなのだから写真もしっかり展示されている。
17時15分ビジターセンターから出ると本格的に雪が降り始めていた。さてさて、明日の朝はどうなっているのでしょうか・・・。
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今日のざっとした行程も記しておきましょう。
朝8時半、ページの町を出発。グレン・キャニオン・ダムを造った事によって1963年から出現したレイク・パウエルのそばにあるという事でリゾートタウンになった町。
パウエル湖の景観は、ちょっと地球上とは思えないような・・・場所でである。映画「猿の惑星」はここで撮影されたのだそうだ。納得。
レジャー・ボートがたくさん係留してある。レジャー・ボートと言っても、我々に日本人が思い浮かべるものとはケタが違う。一軒の家が浮かんでいるようなシロモノである。
10時半頃パウエル湖の近くを離れて道は少し山がちになってくる。見えてくる木々も赤松など山岳地帯を思わせる。モニュメント・ヴァレーあたりの砂漠然とした風景とは全然ちがってくる。
カナブの町。西部劇の撮影にも使われたそうな。デニーズという店の中庭には開拓時代のものが残されたり再現されたりしている。昔はここでショーもやっていたのだそうだが、今は昔ほど西部劇は流行らなくなってしまった。店はいちめんのカウボーイ・ハット、ブーツ、皮ベルト、先住民グッズ。
カナブの町から北上し途中で食事と思ったが、止めたところで出てきた店の人が「ランチ・クローズ」と言い放ってドアを閉めてしまった。OPENって書いてあるのにねぇ。
赤い岩の渓谷レッド・キャニオンは規模はそれほどでもないが美しい。少し写真ストップ。今晩泊まる予定のルビーズ・インにはユタ時間で2時ごろ到着した。ランチ・バッフェの昼食。その間に部屋は用意できた。部屋といっても平屋でレセプションから一度外へ出てたどり着く。今日の部屋は7121号室。いや、7階ではありません、7号れんです。