この造形、一目写真で見たとき「行ってみたい!」と思った。
行ってみてはじめて実感できる光景であった。コロラド川、グランド・キャニオンの上流にあるページの町から訪れる事のできるアッパー・アンテロープ・キャニオンである。
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朝、8時半カイエンタの町を出発。160号線から98号線に入ると右手に雪がみられる山を遠望できるようになる。ナバホマウンテン標高約3100メートル。
途中KAIBITOという小さな町にストップ。
村唯一とみえるスーパーには村の世帯数分の私書箱が設置されていた。フィンランドの田舎でも同じスタイルを見たのを思い出す。
風景がすばらしければ車を止め、ゆっくり走っても、ページの町には10時半過ぎについた。
町の中心部の通りにずらりと教会が並んでいて不思議。「全米で一番教会が密集している通り」なのだそうだ。宗派はいろいろ。全米有数のレイク・リゾートだから各地から観光客がやってくる。そういう人たちの為に、小さなページの町にこんなに教会が必要なのだろうか。
通りには巨大なボートがたくさん売られている。“レジャーボート”という言葉をきいて我々が思い浮かべるようなモノとはケタが違う。まるで家一軒である。
ページの町の中心、巨大なセーフウェー駐車場に止める。
アンテロープ・キャニオンのツアー事務所のひとつはここにある。
手続きに行くが、やはり12時からとの事。しばらく時間がある。
近くのホースシュー・ベンドへ行く時間は充分ありそうだ。
町から15分も走ると左手の丘に白く巨大な「P」の文字が描かれている。これは航空機の目印。その向かいぐらいに小さなめだたない標識があり「HORSESHOE BEND」と書かれている。
小さな駐車場は舗装もされていなくて、案内所もお土産屋も、屋根のある建物はひとつない。
駐車場から小高い丘を越えて行く道はけっこう急で足元も良くない。手すりなんかあるわけもない。しかし、丘を超えて見えてきたコロラド川の大曲はちょっと比較するもののない景観であった。
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正午の五分前、ページのツアー事務所にもどる。
アンテロープ・キャニオン行きのジープ・ツアー、今日は我々だけで車を一台使わせてくれる。貸切である。少人数だとほんとに快適だ。
ナバホ族の大柄なガイドさんがついてくれる。これらの場所は先住民の「利権」なのだ。外部から勝手にやってきて勝手に見学してよいわけではない。モニュメント・ヴァレーなどでもそうなのだが、自然の大景観といえども先住民が利権にしていて、誰もが勝手に楽しめる様なシステムになっていない。
荷台に座席と屋根を付けただけのジープは吹きさらし。
今日はそんなに風が強くはないが、道路をびゅんびゅん飛ばしていくのだから吹きさらしの揺れる荷台は台風状態である。
舗装道路から未舗装の河原に入り思い切り揺れながら砂地の河原を走っていく。アンテロープ・キャニオンはこの枯れ川の突き当たりに突然現れる。何台もジープが駐車している先に赤い崖が割れ目を見せている。
岩の裂け目にたくさん人が入っていく。ここからほんの120mほどの間に、この写真のような神秘の造形が隠されているのだ。とても想像できない。この枯れ川はいったん雨が降ると突然鉄砲水が走り抜けていく道に変わる。狭い岩の間をすさまじい勢いの激流が通り抜けながら、こういった景観を作り出したのだそうだ。
歩く地面は柔らかく細かい赤い土。コンタクトレンズは必ずはずしていかなくてはいけない。風が強い日にはもうもうと粒子がたちこめるのだそうだ。そしてその粒子に光があたりこういうスポットライトが出現する。写真を撮るためにわざわざ砂を撒き散らすカメラマンも多い(笑)。
※これらの写真《手造りの旅写真集》にいずれ載せます。