きのうと今日はアルベロベッロに連泊。今日は近郊の三つの小さな町を巡る行程にした。ロコロトンド、マルティナ・フランカ、オストゥーニ、それぞれの町は30分から1時間程度しか離れていない。だからとてもゆっくりと時間が取れる。
朝、あいにくの雨であった。ロコロトンドの旧市街すぐ外の広場でバスを降りるとたくさん店が出ていた。今日は週に一度の朝市なのだそうだ。
街歩きの予定でしかなかったけれど、今日みたいな天気の日には、朝市のような「参加型アトラクション(笑)」がより楽しい。ということで、すでに目も足もお店に向かっている皆さんはそのまましばらく楽しんでもらう事にする。感度の良い双方通信可能な無線機を各自持ってもらっているので、時間になれば呼びかければよい。
市場は雨の日でも地元民で盛況である。たくさんの新鮮そのものの野菜がそのまま積み上げられている。値札だってダンボールにマジックで走り書きだ。
四旬節の金曜日だからだろうか(キリスト教ではキリストを偲んで金曜には肉を食べない人が今でも少なくない)干し鱈のお店。カチョカバッロというチーズやサラミが軒先からたくさん吊るされた店。豆や野菜、果物は産地名が書かれている。やはりそういう部分は買い手もちゃんと気にするのがイタリアらしい。
興味深そうに見ていると、お店の人たちもチーズやサラミ、いろいろなものをちょこっと切っては味見させてくれだす。食べればもちろんピッとくるおいしいさなので、「あ、じゃ、ちょっとだけ買ってって、宿で食べたいね」なんて言いながら買ってしまう。ま、これぞ旅の楽しみといった気がしなくもない。
急ぐ旅程にしていないのは、こういう遊びを楽しむ時間がほしいというのも大きな理由だ。「行程どうりのサービスときちんと提供します」というと、いかにも一番理想的なサービスのように思えるが、旅の場合には必ずしもそうではない。それぞれの人やその日の天候によって、行程を伸ばしたり縮めたり、加えたり時には省いたりというのはあってよいと思う。旅する人とそれを最善にコーディネートしようとする我々の間に信頼関係があれば、それが出来る。雨の日にはこういう市場の楽しみは伸ばすべき時間なのだろう。
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ロコロトンドの市内もすばらしい中世の迷路が広がっていた。規模は小さいので完全に迷ってしまう心配はない。不意に路地が途切れて、平野を見下ろす丘の上からの景色が広がる広場につきあたったりした。日本では名前も知られていないような街だけれど、中世の町が好きな人にはぜひお勧めしたい街である・・っても、パッケージツアーではほとんど入っていないし、個人で行くには交通が不便すぎるのが難点ですね。