アマルフィを出てバスは四苦八苦しながらアマルフィ海岸を走る。バスが対面通行で走るのなんて信じられないような狭いグネグネ道が崖にへばりついているのだ。それがしかも小さな村々をつなぐ道にもなっている。そこここですれすれのすれ違いをやって、サレルノまでたどり着いてやれやれ。これからマテラまでは快適に走れるもちである。
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ナポリやカプリ島のあるカンパーニャ州からバジリカータ州にはいる。
マテラはサッシとよばれる洞窟住居の居住区が世界遺産に指定されている場所である。第二次大戦後までは2万5千人ともいわれる人々が暮らす過密住宅地であった。しかし、洞窟に住むスタイルがとても貧しく不衛生なので「イタリアの恥」として住民移住が決定された。1970年代には本当にゴーストタウンになってしまい、治安も悪化していたそうである。しかし時代は移り、この唯一無二の都市は世界遺産に認定され、今度は「イタリアの誇り」となったのだ。
マテラの観光はたいてい1時間か長くても2時間ないことが多い。昼食と観光だけして宿泊はしない事が多い。大きな箱物ホテルがないことが要因である。しかし、今回我々はマテラの洞窟住居を利用したホテルに泊まる事にした。
レセプションでカギをもらうと、外に出て自分の部屋にゆく。客室はまさに個人の家だったところなのだ。この写真のように岩穴を削って造ってある。中はたいへん清潔で「洞窟」と聞いて思い浮かべるようなジメジメ感全くない。
こういったホテルは団体が大きいとまずとる事はできない。十人限定の手造りの旅ならでわの楽しみである。