午前11時頃、ローマより寒い成田空港に到着した日。
ですが、もう少しローマのお話を。
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ローマ三越から歩いて3分ほどの所にあるサンタ・スザンナ教会には何度も行った事があった。近くのサンタ・マリア・ヴィットリア教会にはベルニーニの設計した著名な礼拝堂があるので、それでそのついでという感じで。申し訳ない(笑)。ベルニーニの師匠だったカルロ・マデルノの設計したこちらの教会は、ベルニーニの方がストゥッコ細工や彫刻で飾られているのにくらべて、フレスコ画が中心。少し時代が古いと感じさせるデザインだ。
いつものようにしばらく眺め回していると、左側廊で、横の部屋に入る扉の前に欧米人が数人待っている様子。「プレセビオご覧になりたい人はこの呼び鈴を押してください」とい貼紙がある。それが目的なのだ。呼び鈴に答えて尼僧が扉を開けて入れてくれたので、私も一緒に入れてもらうことが出来た。
と、目にとまったのはプレセビオではなくて、明らかに中世のものと思しき女性三人が描かれたロマネスク時代のフレスコ画であった。そして、その隣の床がこのように透明なガラスになっていて上から石棺が見えていた。
幸い英語も併記してある解説書が売られていたので少しはその由来を知る事ができる。石棺とその周辺から見つかったフレスコ画は西暦8世紀ごろのもの。2000年の3月の発掘により発見されたが、7000もの破片に分解しており、再現するのはたいへんだったそうだ。同時に修道女の部屋からもいくつかのフレスコ画が発見されているが、こちらは公開していない。
思いがけず、とても興味深いものが見られて、今度からは隣の教会のついでではなくて、サンタ・スザンナ教会へも足を運ぶことになりそうである。
ローマにたくさんある教会。その地下にはいったいどれだけのものが眠っているのだろう。