フィレンツェの駅前にあるサンタ・マリア・ノヴェッラ教会にはルネサンス時代から付属の薬局が今でも活動している。それを知っていたが今日始めていくことができた。
教会のすぐ横ではなくて、少し離れているので分かりにくい。大きな看板はなくて、さりげなくネオンで教会の名前が書いてあるだけ。いかにも薬局ですよ〜、というような装飾はない。外から中が見えるわけでもない。「ほんとにここでいいのかなぁ」と思うような、ちょっとかしこまった扉をあける。天井の高いくらい玄関のホール。そこを抜けて、さらにまた奥に入っていくとやっとカウンターがあるのだ。
しかし、そこでもあまりたくさんの商品が並んでいるわけではない。がらんとした天井の高い空間。限られた、しかし、由緒ある、歴史を生き残ってきた品々(ばかりじゃないのでしょうが)が置かれている。実際今では化粧品やエステに使われるような品が多いように見える。
カウンターに置かれていたこんなかわいい缶が目に留まった。
「これは?」「これはゆっくり舐めて、リラックスさせてくれるもので、1600年代からあるのよ」と年配のおばさま店員。「いい?噛んではダメ。ゆっくり舐めるの。それから、一番大切なのは信じること。」そういって、ゆっくり微笑んでくれた。
なぁるほど、この微笑みのごとく、ゆっくり信じれば効くのでしょうね。薬が効く為に一番大切なのは「信じること」。その薬の効き目を信じる、というだけではなくて、それをあなたに与えてくれた人の事を信じる、なのでしょう。