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硫黄島をめぐるリアリティ
2006-12-08
今、クリント・イーストウッド監督の硫黄島の戦闘をめぐる映画が二本公開されている。日米それぞれの側からの視点でつくるというのはとても面白い試みだ。ぜひ、見たいと思う。

これにあわせてニュース番組で監督が日本のニュースキャスターと対談していた。その際に、「戦争というものにリアリティをもたなくてはいけない」という事を言っていた。映画というのは、自分の知らない世界や時代の事にリアリティを与えてくれる大きな働きをするだろう。

しかし、「戦争のリアリティ」をこの日本でどうやって感じる事ができるのか。一番確かなのは、それを体験した世代と直接話をすること。子供時代に体験した人々というのは私の親も含めてまだまだ生きている。それをしっかり聞いておかなくてはならない。

旅を仕事のフィールドにしている視点からいえば、訪れた先でそういう場所を直視して、正面から説明し、自分なりにでも解説を加えること。たとえばあのパリの凱旋門にしても、無名戦士の記念碑としての意味合いもあるのだと、ちゃんと理解をしておきたい。

日本人の若者が硫黄島の戦記映画をみて感じる気持ちと、アメリカ人の若者が感じる気持ちでは、ぜんぜん「リアリティ」が違うのだと思う。

なぜか。

アメリカの若者というのは、今でも世界でたくさんの紛争地域に派遣され、いつも自分がそのうちのひとりになる可能性があると知っている。ノルマンディのアメリカ軍墓地を訪れた時に、そう感じた。
そこにいたアメリカの若者達は常になく厳粛な面持ちだった。それは彼らが否応なく「リアリティ」に直面しているからなのだろう。日本では考えられない緊張感だ。

硫黄島。
グアムへ行く船上から、一度だけ間近に見た。船上の慰霊祭を忘れていない。私にとっては最も近い「リアリティ」である。

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