カトマンズ盆地を見下ろすスワヤンブナート寺院は世界遺産のせいか、ネパールを訪れるほとんどの観光客がやってくる場所だ。しかし、その途上にあるこの小さな建物のいわれを知る人がどのくらいいるだろうか。
平屋に見えるこの小さな寺院、実は中に入ると地下二階まで続く階段がある。その昔、よくガイドブックにも書かれているカトマンズ盆地成立の神話。盆地が湖だった頃に悪行を働いていた蛇が文殊菩薩によって退治され、その蛇の血で書かれた経文がこの建物の地下二階に納められているというのだ。
国民に本当に困った事が起こった時には、ここに降りてこの経文を唱えて祈ると願いがかなうといわれる。しかし、それが出来るのは32の聖なる身体的特徴を備えた人でなくてはならない。
18世紀の王が、うち続く日照りを終わらせる目的で祈祷しようと考えた。32の特徴を備えた僧とともに王はそこに入り、みごと願いは叶えられたとされる。
近年、この伝説を確かめようと降りていった不届き者は、目が見えなくなり発狂した。今でもその男はこの近くに住んでいるとか。