パリへの直行便。

「ホテル」という場所には、仕事柄かなり泊まっている。だからそこでくりひろげられる人間ドラマをどんな風に見せてくれるのかに興味があった。

基本的に個人的な空間を提供する「擬似我が家」がホテルだとすれば、そこには人々の表の顔ではなく裏の顔がある。どんなに有名な芸能人であっても、権力の座にある政治家でも、個人的な空間にあるときにはただの弱い人である。

以前、何かのトラブルの際、ホテルのスタッフだけが行き来する裏通りを案内された。その時案内したヤツが、ニヤっとしながら言った言葉を覚えている。

「This is the real world（これがホントの世界なんだぜ）」
擬似個人空間を作り出すためには、ちゃんと裏の裏方が存在している。

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三谷さんの作品というのは舞台のコメディーを思い出させるテイストのものが多い。これもまたそういう味わいの作品。

パラレルに繰り広げられるストーリーが最後に皆同じ流れに収まっていくというスタイル。こういうのは、舞台で演じるには難しいように思う一方、ぱっとシーンの転換が出来る映画には向いている