ルーブル美術館所蔵ギリシャ彫刻の展覧会が上野で大々的に行われている。それは、これが理由だったわけですな。
「門外不出の作品が大挙して初上陸!」
というのは、つまり本家の展示が出来なくなっているからなわけです。
だいたい重い石を削った彫刻というのは、隣の展示室へ動かすだけでも大変な労力を要する。どうせ動かすならば、この際他の博物館へ貸し出し出稼ぎしてもらい、移動させるコストも肩代わりしてもらう。合理的な解決方法である。
しかし、これは悪い事ばかりではない。
展覧会の図録でルーブルの関係者が書いていたのだが、通常ルーブルでは重たい彫刻は地上階にしか置くことが出来ない。小さい品々は上階に離して展示される事になっている。
今回のように「アフロディテ」というひとつのコンセプトのもとに、大きな石彫刻も小さな品も並列して並べる事は、やりたくても出来ないのである。
また、ライティングやセッティングも、永続的なものとしては容認できない形も、3ヶ月ならば可とされることになる。
展覧会は「何が」おかれているかではなくて、「どう」おかれているか、を評価する場という事である。