パリ発の便が夕方なので、14時までは自由になる時間がある。
こういう日に朝ゆっくりとルーブルに出かけて、みたいものを少しだけゆっくりと見るのが良い。ガイドブックに載っている作品をさがして歩くのは所詮「ある事の確認」をしているだけじゃないだろうか。
広い百科大事典のような美術館なのだから、全部見ようとするのが間違っている。辞書を端から読む人なんていないでしょう?(笑)。
きのうの中世美術のつながりで、ルーブルの中世コレクションのコーナーへ足を運ぶ。今年の「芸術新潮」で紹介されていた美しい象牙の彫刻や皿のほかにも、たくさん目を引くものがあった。
私が特に好きなのは、ロマネスクの造形の中にある、ある種漫画的な味わいのある顔。「美術品」と祀り上げて見ることをやめると、見ないでやることによって、この写真のような、なんともいえない味わいのある顔にたくさん出会えるのですよ。
人間は昔からあそび心をもって仕事していたんですね。あるいは、あそび心が入り込めるぐらいの余裕がなくては、いい仕事にならないのかも。