他人に何がしかの判断をする立場の人がある。仕事に貴賎があるわけではないが、実際に人のいろいろな事を、自分の決断によって左右する立場にある仕事があるのだ。

世間で「責任者」とよばれる人は何がしかのそういう責務を負っている。（また、そういう意識を持たねばならない筈である）

そういう立場にある人が、自信を持って決断を下す為に必要なのは何なんだろう。

かつての階級社会においては簡単だった。「ノブレス・オブリージュ＝高貴は義務をともなう」というひと言で、すっきりと納まってしまう。語学、会話力、筆記術、弁証法、体力、音楽。幼少の頃から染み込ませ、どんな人と相対した時にも自信を持って決断出来る「格」を持つ。

現代の日本において事はそう簡単ではない。その決断を下す能力がある事を自分自身で証明しなければならない。自分自身に対して。

裏付ける「何か」とは何だろう。
社会的経験か？世界を見る目か？かつて貴族がやったような訓練なのか？

いや、おそらく、それらは皆「あったほうがいい」というだけのものだ。必要条件は違う。絶対必要なのは、力がありながらも力のない者を一刀両断にしない「心」なのだと思う。