BNF(フランス国立図書館)の中にはもちろん大きな勉強室がある。ここはほんとに勉強する人々でいっぱいである。
ぎっしり人で埋まっているこの部屋だが、しんとしつつ、かつ頭がぐるぐる動いている熱気が感じられて圧倒される。
階級社会が当然という意識のヨーロッパで指導層になる人々は、ほんとうにドリョクしているし頭がいい。ヨーロッパ諸国皆に言えることだが、労働者が出世して管理職になるという発想ではない。勉強するかしないかによって、用意されるスタートラインが違っているのである。
大学生といっても、こういう切迫感が日本の大学生とは全然違うれレベルにある。強烈な目的意識がすでに感じられる。それがなくて勉強しないやつはすぐに振り落とされてしまうのだ。
華美なブランドのバッグをもった学生など一人も見かけなかったし、廊下や食堂でさえだらだらしている姿はひとりも見かけなかった。質実剛健できりっとしている表情が誇り高い。
ううむ、フランスの頭脳はこういう所で育っている。
普通、観光旅行で我々が関わる事になるフランス人にはこういった人はほとんどいないといっていいだろう。だから我々のフランス人のイメージは、だいぶん偏って形作られる事になる。