声をかけていただき、エレクトリック・ベースの革命者ジャコ・パストリアスの再来といわれるリチャード・ボナのライブに行く機会に恵まれた。
※彼の経歴はブルーノートのこのページなど参照
http://www.bluenote.co.jp/art/20060216.html場所は横浜赤レンガ倉庫内にあるライブハウス。
整理券にも並んだので、正面10メートル程の場所で、しっかり見聞きする事が出来た。
まず、誰もが期待しているベースの演奏について。
ミュートの歯切れが素晴らしくよいのに驚く。いまさらあたりまえなのだが、♪音符として出てこないところでどのように弾くかという事が、良い演奏をするカギなのだと認識。
タッチがとても軽く、これが自分の弾き方との大きな差と気付く。040からの細い弦を使用しているのもその目的にあっている。エレキベースでは、通常一弦目は045からのセットを使う人が多いし、逆に私は太めの050からのセットを使用している。
ウッドベースと違うのだから、エレキでは弦をはじくのに強い力を入れる必要はないということなのだろう。ううん、それも事実であります。(ま、これを知ったからといって、自分の弾き方を変えるわけでもないのですが)
演奏曲で私にとって最も嬉しかったのは、(そして会場も確かにどっともりあがったのは)、ジャコの名曲リバティ・シティが始まったところだ。これは、もうほんとに飛び上がらんばかりだった。
16日に行われた上記ブルーノート東京での演奏リストを見ると、このリバティ・シティは1stの時だけ演奏されている。必ずやっているのではない曲なのだから、ほんとによかった。
そして、全体の音としては、アフリカを感じさせる音楽だった。
彼の歌うアフリカの言葉は、英語で歌われる歌とは全然違う気持ちにさせる。
いわゆる黒人音楽というと、アメリカのブルースやR&Bを思い出すのが通常だが、ここではそれはほとんど感じられない。シカゴやニューヨークやニューオリンズではなく、アフリカの草原を思い出させる。
純粋なアフリカのビートが、洗練されて現代に生きている。
アメリカの黒人音楽は、アメリカの歴史の中で、アメリカ流にゆがめられてきていた。そういう面は確かにあるように思う。
ほんとうのアフリカのリズム。
あのカラリとあかるいビート感は、「アメリカの黒人音楽」からはあまり感じられない。
リチャード・ボナの大きな強みは、そういうアフリカに根ざした音楽にあるのではないか。
演奏メンバーも実に多彩な国籍。
サックスはシアトル、アメリカ。
ドラムはキューバ。
パーカッションはコロンビア。
ギターはブラジル。
そして彼自身はカメルーン出身である。
これらミュージシャンの音楽を全て飲み込んで、今夜の音楽として再生させているのもまたニューヨークなのだが。