ハシュタの港に船が着いているのがホテルの部屋からも見えた。
朝7時にホテルを歩いて出発し、港までは5分ほどの距離となる。今朝3度と暖かく、雪もない。昨年は足元を見るのが忙しくて気付かなかったが、小ぶりながらなかなか美しい町並みのハシュタである。
ベルゲン⇒キルキネス間を運行している沿岸急行船は、もともと観光用だったわけではない。あくまで住民の生きていく為の生命線だったのだ。
この航路が毎日運行されるようになったのは、たった半世紀程の事。それ以前は首都オスロから出した手紙も2週間を経てやっと届くような北極圏の町町だった。
現在はそのルートの素晴らしい景色が、世界中から観光客を呼び寄せて、船もこのような立派なものになっている。
今回の船は2002年以降に建造された新しい船。1万5千トンのトロル・フィヨルド号。九階建てでシースルーのエレベーターも二機付いている。
ガラガラとスーツケースを自分で運び込む。
8時前には汽笛の音もなく、静かに出港。
朝早すぎて部屋はまだチェックインできないので、8回の展望ラウンジでゆっくりすごす。
この時期太陽は全く顔を出さないが、9時ごろにはゆっくり世界が蒼く変わっていく。
雪の島々とのコントラストの美しさに寒い甲板にずっと出ていたいほどであった。