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都会を冷たい場所にするのは
2006-01-13
プリンターに修理の必要が出たので、御徒町にあるメーカーの修理センターまで電車で持っていった。
A3まで印刷できるタイプなので、けっこう大きい。
買ったときの箱に入れると、ちょうどちょっとしたスーツケースぐらいの大きさになった。
これをコロコロ引っ張るタイプのカートに乗せてゴムで固定する。
しかし、あまり頑丈に縛っていなかったので、安定が悪くなってしまったようだ。歩き始めてから、気を抜くとすぐに外れてしまうののをだましだまし駅まで運んでいった。
そして実際、途上で2度ほどカートから外れて箱が地面に転がる事になった。
その時「ちょっと持っていてあげましょう」と声がした。
大きな箱とカートの間でまごまごしている私に、二度共そう言って手を貸してくれる人が現れた。
二度共が五十代半ばは過ぎた感じの男性だった。
「あ、どうもありがとうございます」
こんな私は少し意外な気がして、答える。でも嬉しかった。
東京という町も、まだまだすてたものではない、と思った。
都会を「冷たい」とか「人情味がない」と決め付けているのは誰なのだろう?それは実はそう思いこんだ人自身が元凶になっているのではないだろうか。
『東京では少々人が困っていても、かかわりを避けるのは無難とばかりに手は差し伸べない、そういう場所である』といつしか自分も思い込んでいたようである。都会をつめたい場所にする元凶になりかけていたという事だ。
だから自分が人に善意を示したい時があっても、ためらってしまうようになっていた。
これは若い人ほどそういう傾向があるのかもしれない。
五十を過ぎ、社会経験をそこそこ良い形でつんでいった人であれば、困っている人には手を貸そうと思うようになる。きっとまわりがどうあろうと。
それは、自分が人の手を借りて生きてきた事に気が付くからなのだろう。私に声を掛けてくれた人が同じような年代だったのでそう感じただけなのだろうか。
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