昨夜は雨のストラスブールを8時ごろ出発し、真っ暗な中、コルマール郊外のホテルに9時ごろ到着したのだった。
目を覚ました時には小雨が降っていたが、いざ町を散策する時間になると青空が広がって、気持ちの良い朝になった。ついてます。
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このコルマールというフランスの田舎町には、ドイツ15世紀末の画家グリューネバルドの代表作とされる「イーゼンハイムの祭壇画」があることで知られている。
ウンターリンデン美術館はドメニコ派の修道院を改修して造られているので、展示の環境も悪くないと聞いていた。十年以上前から画集で見知っていたが、今日まで見るチャンスに恵まれていなかった。それが今日ついに見られる!待ってましたの一日である。
実際に目にした祭壇画は、心の中でイメージが膨らみ続けていたせいか、それほど大きなものには見えなかった。教会にあった時代からはだいぶん環境が変わった場所におかれているように感じた。
しかし、がっかりしたわけではない。
何枚もの絵画で構成された複合祭壇は、現在解体されてすべてを間近に見られる展示にしてあった。これは美術館の展示としては正しいのだろう。グリューネバルドの絵を堪能する事ができた。
こういう時代の絵は特に、本物を見なければ自分で好き嫌いをいう事はできないものである。今まで写真集で見ていたものより、全ての場面と色彩で深みを感じる。
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グリューネヴァルトの作品は数がすくなく、彼の生年の説もかなり開きがある。
1471年ニュルンベルグ生まれのアルブレヒト・デューラーとの関係はどういうものだったのだろう。
1520年にデューラーと一度だけであったとする説もある。
そのあたりを想像してみるのも楽しい。
グリューネヴァルトもデューラーも、それぞれ自信を持って我が道を行き、おたがい影響を受けているようには見えなかった。