夕方ではない、朝9時頃のカイロの町である。
砂漠の砂埃なのか、雨が降りそうなのか、とにかく霞んだ風景だった。
昨日お昼頃に飛行機で到着した時からこんな感じだったが、今日もまだ続いている。
こんな日はフライトキャンセルになったりしないかしらん、と思っていると、ホテルのアシスタント氏が「アレキサンドリアから昨夜到着予定の飛行機が、遅れに遅れて朝の到着になった」と疲れた顔でつぶやく。彼もそのおかげで振り回されたわけだ、お疲れ様。
そう考えると、我々の今回の旅は、(船の座礁騒ぎはあったけれど)交通上も天候上もすこぶる順調にいった様でほっとする。
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雨でも降りそうだとおもったが、それはここではかなりかなり珍しい事である。
カイロの年間降水量はたったの30mm(東京は2500mm程)。ここで雨が降るという事は、東京で雪が降るよりも珍しい。私も今までたったの一度だけしか見た事がありません。
しかし、ひと度雨が降ると、道路は泥水があふれ、車は雪の東京を走るごとくおそるおそるのろのろ動く事になってしまう。
そんな事態をちょっと心配したけれど、コプト地区を歩いている頃には陽が射してきた。