フィレンツェ出発の日。フライトは午後14時45分という事で午前中も有効活用。
ウフィッツィのメディチコレクションの中から彫刻作品を移動してきてつくられたバルジェッロ美術館へ行く。ミケランジェロの三作品をはじめ、ドナテッロやヴェロッキオの作品など、ここは質的に世界最高の彫刻作品を所蔵しているのだが、どういうわけかボッティチェリの「ヴィーナス誕生」のあるウフィッツィ美術館やミケランジェロの「ダビデ」のあるアカデミア美術館に比べるとはるかに空いている。
私が特に好きな作品はしかし、3階の一番奥のコイン室にひっそりと置かれているベルニーニの「コンスタンツァ」である。
これは、ベルニーニが自分の愛人だったコンスタンツァを私的に彫り上げた作品である。王侯や法皇のオーダー品でないだけに彼の直接の気持ちが入っているように感じられるのだ。
コンスタンツァはベルニーニの弟子と結婚していたのだが、ベルニーニに愛された事によって、歴史にその姿を留めることになった。