「日記」というにはあまり日付ぴったりの話じゃなくてすみません。この日は成田帰着の日でしたが、ロシアでの話を続けます。
***
スズダリへ着いてから夕食の時間までは二時間もなかった。
しかし外は気持ちの良い田舎の風景がひろがり、そこここにロシア正教会のネギ坊主が見えている。天候もすがすがしい。
散歩するしかないでしょうー!
こういう少しあいた時間に散歩に出るか出ないかが、案外町の印象をきめるのだ。事前に段取りされた観光コースだけを見せられているだけでは、お仕着せのガイドブック確認の旅におわってしまいかねない。
まだだいぶ高いが夕陽になり始めた太陽の照らす道を歩き始める。しばらくいくと、分かれ道にまだ修復されていない教会が建っていた。ソ連時代にはこういう宗教施設は荒れるにまかされていた。ここ10年で重要なものから少しずつキレイにされ、ガイドブックにはそういうキレイなものが載せられている。
こんな名も無い小さな教会もしかし、地元の人々の手で、地道にかつての輝きをとりもどしつつある。この写真の後方にも、新しい銀色の屋根見えている。(しかし、銀色というのは金の代用で、銀色は本来正教の屋根には使われないそうです。予算によりやむを得ずの銀色。)
この日の夕方出遭ったこの風景は、なによりも雄弁に歴史を語ってくれているように感じた。私のスズダリの印象をきめた風景である。