このロシアの二大都市は全く性格の異なる町である。
大抵の観光客に印象が良いのはペテルブルグの方である。
海があり、運河が流れ、計画都市らしく比較的整然と道が走っている。
エルミタージュを代表とするすごい美術館も、マリンスキーを代表とするすばらしい劇場もある。
私もこの二都を比べた時、「そりやー、ペテルブルグのほうが魅力的でしょう」と思っていた。
でも、ロシアをよく知る人の多くは「モスクワの方が好き」といわれるのです。なんでだろう?と思っていたのですが、今回少しそのわけが見えたような気がします。
モスクワは東京のように多面的な街である。
新宿や渋谷や新橋や上野や池袋があるように、モスクワもまたいろいろな顔を持っていて、それを自由に選ぶことができる。それがペテルブルグのように規定された印象を与えてくれないので、ぱっとに見は受けないだけなのだ。
モスクワの懐は深い。