永島慎二氏が亡くなっていた事は、ちょうどスイスへ行く飛行機の中で読んだ新聞に載っていた。
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子供の頃から漫画大好きだった私が、大学になっても、いや今になってさえも楽しく読めている漫画を書いた人である。
長年それこそ山のようにあった漫画本たちは、今やほとんど手元になくなってしまった。人にあげられ、実家で処分され、手元にあるものでも、ほとんどはダンボールに入ってすぐには手にとる事ができない状況にある。
そんな中でなおすぐに手の届く書棚にあるのが「漫画家残酷物語」の1巻〜4巻である。
今、手元に取り出して裏表紙をめくってみると、私は昭和51年発行のものを買っていた事が分かった。永島慎二の初期の作品は、この時すでに古典的な作品とみなされたいて、巷で当時流行っていた漫画とは全く違うスタイルだった。
どういうきっかけかは忘れてしまったが、それを手にとって、驚き、大げさに言えば、生き方を見直すような影響を及ぼしてくれた。そう、今頃になってそう感じている。
調べてみると、この作品が発表されたのは昭和36年。つまり私の生まれた年であった。しかし、今読んでみても全く古く感じられない。人間が生きている限り決して古くならないテーマを扱っているからだろう。
4冊の本は、すでに黄色く変色し、開くところは黒くなってさえいる。表紙は一度とれて、それを裏表テープで修復してある。大事にしていたんだな。
今、すごく久しぶりに読み返してみて、もう一度、上からテープで補強したところである。