「世界一きれいなところじゃとおもうてますぅ」
尾道をみおろす高台にある千光寺を案内しながら、そう言われたのだった。その方は子供の頃このあたりで遊んで育ち、今にいたるまで半世紀近くもこの町ですごしてきた。
そうやって自分の町を「世界一」と思えるというのは、なんと幸せなことだろう。この町はまた、確かにそういった魅力があるように見える。
私は初めて尾道を歩く今日、この方に案内していただけたことをとても幸運に思う。どんな場所であっても、その場所を好きな気持ちのある人に案内してもらうとき、自然とその場所のよさが伝わってくるように思えるからだ。
ひるがえって、自分が人を案内することを思う。
世界中いろいろな町へ行く自分だけれど、できるだけそれぞれの美しさや面白さを発見し、好きにならなくてはいけない。
自分自身の町に対する印象が、ご一緒する方々の一生の印象になる可能性が大いにあるからである。
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写真は昼にいただいた「オコゼのから揚げ」。
大正時代から続く老舗「青柳」の名物料理です。
ガリガリっとかじっていくと中の柔らかい身がことのほか柔らかく感じられます。左上は専用の甘酸っぱい漬けたれです。