NYのケネディ空港について入国する人びとの列は、すでに審査場から溢れ出していた。

なにせ全ての入国する人から指紋と顔写真をとるのだからこれは時間がかかる。ゲートから審査上へ降りるエスカレーターのの上で係員が人の波を押しと止めている。

30分以上は待った末、係官の前に来るとパスポートの記録と共に、まず右手人差し指、そして左手人差し指を機械の上に乗せる。それから各ブースについている球形の小さなカメラで顔写真を撮られることになる。

これで私のデータはアメリカ政府の持つ、膨大な入国記録のひとつになった。何か有事の際にはコンピューターでスキャンされるわけだ。

「なにも悪い事してなければ、指紋とられるぐらいイイじゃない」
という意見もあろう。しかし、こういったデータは人違いを引き起こす事が往々にしてある。