オランダに日本人がやってくるのは(いやいや日本人だけじゃないですが)、3月半ばから5月半ばに集中している。
その理由はこの期間だけ、世界的に有名な花園・キューケンホフ・ガーデンが開いているからだ。
即席で造られたテーマパークのようではなく、何年もかけて育った大きな木と美しい水辺に水鳥がいて、そこにあふれるように鮮やかな花が咲いている。
28ヘクタールの園内は2時間もあればぐるりと一周できるちょうどよい大きさ。ロンドン郊外のキューガーデンのように何時間いても把握しきれないほどの広さでないところがウケル秘密でもあるのだろう。
ここには通算すると10回以上は来ている小松だが、寒い日暑い日、雨天晴天、いつきても目を洗われるような美しさで失望させられるという事はなかった。
草花が世界一好きな(と私は思う)日本の女性に人気があるのも分かる。
しかし、一方でこの二ヶ月間はあまりに施設が混みあいすぎて満足に見られない場所が出てくる。その最たるものが美術館。
この日、午後からはデン・ハーグのマウリッツハイス美術館を見学したのだが、それはもう絵を楽しむような空間とはいえないこみ具合であった。
ここはマウリッツさんのハイス(家)だった建物で、そんなに大きな場所ではない。部屋も一部屋に30人は多すぎるようなこぢんまりしたつくりである。
そこに30〜40人ものグループが5つも6つもやってくるのだから、そりゃあ部屋に入る人数制限は必要になってくる。
フェルメールの「デルフトの眺望」「真珠の耳飾の少女」のある部屋では、入るのに廊下でまたされてしまい、パンフレットの写真で絵を説明するという悲しい事態にまでなってしまった。
やれやれ、花はいいけれど、絵を鑑賞するのならば、ぜったいキューケンホフの閉まった後に来るべきですね。