フィレンツェのフリータイムで、大聖堂裏にあるその名も「大聖堂博物館」へ入った。

ここへはだいぶ久しぶりの入場で、入ってすぐが中庭のように外光の入ってくる展示室に変えられていた。

ここには洗礼堂の扉として作られたロレンツォ・ギベルディの通称「天国の扉」のオリジナルが置かれていた。以前は屋内にあった作品である。その時見た印象と違い、今回は本当に光り輝いて見えた。

やはり展示物はオリジナルの環境に近くおかれた時にその真価を発揮するのだ。屋外の光に似合うように製作されたこの扉は、やはりこのように自然光のもので展示されてこそ生き生きする。

逆に教会のほの暗い光に照らされていた祭壇画は、あかるい現代美術館の白い壁では、すこぶる居心地がわるいのである。