ロンドン郊外の世界遺産KEW(キュー)ガーデンには1848年に出来た温室が残っている。ここはただの植物園ではない。
1848年はウィーンの2月革命の年。パリでもまだまだ革命が続いている。英国は大英帝国との覇権がまさに頂点に達していく時代。
世界各国の領土からプラント・ハンター達が集めてきた植物がここで研究されていた。それは単に研究のためのものではなく、どこに持って行けば効率的な植物運用ができるかの実験の場だった。実利が目的であったわけだ。
代表的なものとしては、ゴム。
この植物はもともと南米原産。しかし、研究の結果マレーシアに持ち込まれて、大きなゴムのプランテーションが営まれる事になったわけだ。今はもうゴム園などはやらないマレーシアではあるが、当初はそうして持ち込まれたのである。
KEWガーデンは今でも実利と離れたところにはいない。
植物はもともと人間の治癒力を高めるものであり、たくさんの薬の元になってきた。これからも植物から新薬が発見される可能性は大いにあるのだ。