飛行機のない時代、船で帰国する祖国を象徴する風景というのが確かにあった。
太平洋戦争で捕虜になった日本人が、それと知らされず日本に送還されてきた時の事。船上から遥かに見える富士山を見て、はじめて日本に帰ってきた事を知り涙した話がある。
ドーバー海峡に延々と続く白い崖。イギリス人にとっては、このドーバーの白い壁を見る事は、祖国に帰ってきた事を実感する事だったに違いない。
かつてローマのカエサルもこの白い壁を見て、「アルビヨン」=白い国、と名付けている。それほど海上から見たこの崖は印象的な色彩なのだろう。(一度海から見てみたいです)。
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私は昔、この壁の事をJIMMY CLIFFの「Many Rivers to Cross」という曲で知った。
Many rivers to cross
It\\\'s been so hard to find my way over
Wandering,I\\\'ve been lost
and I travel alone
The White Criffs of Dover...
ジミー・クリフの名唱と共にずっとこの風景は心にあり、来る度に歌声が聞こえてくる。