東京は凍えるように寒い一日でしたが、暖かいインドの話を続けます。
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空港へ行く日の午後、最後の観光として、デリーの南郊外にあるこの遺跡を訪れた。
もともと原住民がヒンズーであるのに対して、支配者の多くが外からやってきたイスラム教徒であったのが特徴のインドである。
その初めて成立したイスラム王朝が、勝利のしるしとして建てたのが、このモスクの塔(ミナール)である。
隣接するモスクの廃墟が興味深い。
柱は、かつてあったヒンズーやジャイナの建物を壊して、その材料で作られている。後のドームをいただくモスクではなく、もともとのシンプルな柱の並んだだけのスタイルが美しい。
この場所には15年以上も前に来たことがある。
腕をまわしてとどけば幸せが訪れるという、グプタ朝伝来と言われる鉄の柱にも手を回した記憶がある。写真も残っている。
しかし、その時私はこういった文化・民族的な視点でものを見れれなかった。隣接する興味深いモスクにもまったく注意を払っていなかったのだろう。
十五年して、少しは自分の目も進歩したという事だろうか。