私にとって、インドにある建造物のなかでもっとも印象的なものは、タージ・マハールではなく、この風の宮殿である。
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今を去ること18年(だったかな?)。
わが母を伴い(というか、私が伴われて?)、インドの母の友人宅へ行ったのが、初めてのインドでした。
その時は、デリー以外の都市では、自分達で移動し宿も探しました。
ジャイプールでは駅を降りたとたんに、客引き、車引き、物乞い、押し売り、などなどにいっきに囲まれてしまい、もう動きが取れない状態になったのでした。
まだこういった状況の上手い切り抜け方も分らなかった我々は、ついにひとりの押し売りガイドの運転するオートリクシャーに乗っておりました。
彼が、きょーれつなインド訛の英語でガイド(と称する)するわけです。
予め見たいと思っていたもののトップが、ガイドブックの小さな写真で特に印象的だったこのハワ・マハール=「風の宮殿」。
ところが、いよいよコレを見に行こうという時に、母の具合が悪くなり、ついには、オートリクシャーから眺めただけでこの美しい「風の宮殿」を通り過ぎたのでした。
あの時の残念さ加減は、ずっと忘れられずにおりました。
それ以来、数々のヨーロッパ的名建築を見てきましたが、こんな印象の建築に出会うことは、結局ありませんでした。
だから、今回急にインド行きが決まった時も、心のどこかで「風の宮殿」に再び出会えるという囁きが聞えていたのです。
そして、ついにで再会した今、18年も思いつづけていた今回の場合、想いが募りすぎてがっかりするのかと、少し心配していたのですが、、、
。。もっと感激を与えてくれました!
この建物、通常のパッケージの観光では、前で写真撮って「ハイ、さよなら」なのですが、私の《手作り》では、じっくり登ってまいりました。
おんなじ「観光」でも、ずうっと得るものが大きかった筈と思っております。