田原桂一というひとは、パリの屋根裏部屋に住んでいた頃、そこから撮りはじめた「窓」というシリーズで有名になったという。それが、彼のキャリアの始まりだったそうだ。
庭園美術館の二階には、その作品もならべられていた。
一階には、石に像をやきつけたものなど、すでに「写真」と呼ばれる枠を突き破ってしまった彼のスタンスがみてとれる。
そして、中でも、この建物自体を動く映像でライトアップした作品は、一番面白いものだったといえる。
もうアートと呼ばれるものは、額縁の中にはおさまらない。
いや、建物という器さえも飛び出していると思う。
逆にそんな器に飼いならされてしまうのでは、現代の自己主張としては、力不足に思われてしまうのだ。
アートは、どこにある?
それは、どこにでも。
あなたが「みつけた」と思うところに存在するのだ。