本田たけひろ、というピアニストが、半身不随から立ち上がって、復帰しようとしている記事が新聞に載っていた。

私がまだ大学に入る前の1979年。琵琶湖バレーというスキー場で、毎年夏に開かれたオールナイトフェスティバル。その年、オープニングをやったのが、ネイティブサンというバンド。そのリーダーでピアノを弾いていたのが彼だった。

あの時のテープは、いまだに持っている。
夏の夜のさわやかな風。ひろい原っぱに、座って、オープニングのクラビネットが響き始めた時の、ワクワクした気持ちを覚えている。
それを弾いていたのが彼だった。

本田たけひろ・峯厚介のネイティブ･サン、やはりピアニストの今田勝、山下洋輔。たくさんの音楽をはじめて吸収した夜だったのだと思う。

当時はやりのフィュージョンのカシオペアなどを目当てに行ったのだけれど、結果的にJAZZの世界に魅了されて帰ってきた。

四半世紀を過ぎて、自分に影響を与えてきた音楽家が、そういう苦難の人生を歩んできたことを知り、ほんとうに時間が過ぎていくことを感じる。