今回でないと見られないパリルーブルの展覧会。
ナポレオン戴冠二百年記念の展示である。
小規模で部屋ひとつ分程度であったが、展示物は圧巻だった。
特にダビッドの描いた、大作「ナポレオンの戴冠」への、素描群は興味深い。真実の戴冠式がどのようであったかを現代に知らせてくれる。
なんせ、写真のない時代であるから、こういうリアリティあふれるデッサンは、最高の真実情報源である。
ナポレオンは、ローマ法皇に戴冠してもらうはずの冠を、自分の手で自分の頭に載せてしまった。これは、前代未聞の傲慢な戴冠式で、これをそのまま描いたのでは、避難ごうごうは必至。
で、ダビッドが完成させた戴冠式の絵は、その後ナポレオンがジョセフィーヌに戴冠させる場面を描いている。ダビッドの絵は本当のところ「ジョセフィーヌの戴冠」なのである。
今回のダビッドの素描には、そのボツになった真実がデッサンされていたのです。⇒