上野東京芸大美術館での「興福寺国宝展」へ行った。
11月3日までという会期末で、予想どうりというか、予想以上にというか、大混雑していた。
こういう時に、展示のはじめから順番に見ていくのは、時間の無駄だと考えた。だって、人垣が二重どころじゃない。
まず、入り口に置いてある出品一覧表を見て、自分がいちばん見たいもの見に行くのだ。今回それは、間違いなく鎌倉時代の木彫群。
四つに区切られた展示室のうち、三番目にそれらがあった。
美術展を構成するキュレータ−達は、もちろんいろいろなストーリー性を考えて、展示物を配置している。それは、よくわかる。
だから、こういう目的物へ一目散的な見方は、そういう構成者の苦労を無にしている訳だ。
しかし、はじめから律儀に見ていったら、本当に見たいものにたどり着いた頃には、きっと疲れてしまってるんですよ。
建物内では、第一と第二展示室が地下二階にあり、
第三と第四展示室が地上三階にあるという、かわった構造である。
まず、一度地階に入ったが、すぐにエレベーターで三階に上がった。
そうすると、第一展示室のような行列はここでは、見られない。
もちろん混雑しているのには変わりないが、辛抱強く行列して展示物へにじり寄るような雰囲気は薄れている。
はじめから律儀に見てきた人は、ここまで来るのにだいぶん疲れてしまったわけだ。
展示物をよりよく見るためには、自分の体力が不可欠である。どんなに良いものでも、疲れきったときに見せられては、それを感じ取る感受性が鈍化して、感じるものも感じられない。
だから、自分の体力を考えて、美術展の何を見るのかを決めるのも、ひとつの方法なのである。
※長くなったので、展覧会自体の内容については、別に書きます。
写真は、興福寺の五重塔夜景。
こういう見方は、人によるので、一概には薦められないが、私には有効であった。