12時間の機内の為に、近所の図書館で借りた本。

「ヴェネチア人」ヘルマン・シュライバー著　関楠生訳

こういう訳本というのは、日本人が日本人の為に書く本と違い、出てくる固有名詞に馴染みがない事が多い。比喩もちょっと洒落ている分だけ、事前の知識を必要とする。

たとえば…
「1382年コンタリーニが死んだ後で行なわれたドージェ選挙の時には、もうヴェネチアは、ほかならぬボッカチオがの呼んだとおり、ふたたび「嘘の母」に戻っていた。」

こういう書き方は、最近出ている日本人の書いた日本人の為の読みやすいベネチアの本とはだいぶん違う。きっと万人には受けないだろう。

私にはとても面白く読めたけれど、きっとあまり売れなかっただろうなぁ。まだ刊行しているだろうか？？面白いと思う本ほどすぐになくなってしまう昨今である。