ひとつのトンネルを抜けると、天気は暗転、大雨が列車の窓を流れだした。もうひとつトンネルをくぐると、こんどは、うってかわった青空が待っていた。時折過ぎる小都市と山の間を、青々とした田んぼが、埋めつづけていた。そうだ日本はこういう国だった。

東京からほぼ真北へ五百キロ。
新幹線の扉が開くと、きっと少しは涼やかな空気にちがいない。
そう期待していたけれど、今日は盛岡も３４℃！　
やっぱりむっと暑い日本でした。
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盛岡へ来たのは、平成三年の文部省教員海外派遣長期16団の同窓会があるからである。
全国の都道府県から選ばれた21人の先生方が、たまたま同じ団に配属されて、外国の学校を見学にいった。私もまた、たまたま、それに同行する事になったのだ。

当時はまる一ヶ月間、ヨーロッパとアメリカ大陸をまたにかけて学校訪問をしていた。あの時は、スロバキアのトルナバ、イタリアのクレモナ、カナダのトロワリビエール、という三都市をめぐった。

人生の中のたった一月間ではあるけれど、それは各人の人生全体にとって、きっと大きな影響を与える旅であった筈である
あれから十三年。
年月を経るにつれて、よりそんな気がしてくるのではないかと思う。
二度とあんな旅をする事は、ないだろうと。