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プラハ市民会館、ミュシャの部屋
2004-07-22
今日のプラハ市内観光は通常のものとは全然違ったコースを企画した。
スメタナやドボルザークの眠るヴィシェグラードの記念墓地、ドボルザーク記念館、モーツァルトの滞在したベルトラムカ荘、などなど。
その中で、圧倒的美しさだったのが、市民会館二階の市長の間である。
ここは、世紀末のパリで女優サラ・ベルナールのポスターを画いて名をあげた、アルフォンス・ミュシャのデザインした部屋である。
市民会館の建物自体もアール・デコ調のデザインで素晴らしいのだが、中でも市長の間は白眉である。一歩中に入った時、その青い空間にぞくっとした。壁に描かれるチェコの歴史に題材をとった絵は、みな深い蒼に沈んでいる。その画を分けるように銀色の胸像を配した柱仕切りがあり、その銀色もまた蒼く照らされている。
なぜなら、窓にはステンドグラスが深い蒼に染められて配置されているからである。実際の絵の具の作り出す蒼と、ステンドグラスの作り出す蒼い光。それに悲壮な歴史を刻んできたチェコ民族のストーリーが絡んでくる。
これを見ると、ミュシャ(これはフランス風の呼び方で、チェコ語ではムハと発音する)が、単なるキレイナ絵を画くポスター作家でない事を理解させてくれる。
日本でもよくミュシャの展覧会が行なわれるが、こういった真価を語ってくれる作品は、ここに来なければ見ることができない。
彼の真価は、けっしてボヘミアを離れる事はないのだ。
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