午前中、氷河特急の途中乗車駅であるアンデルマットまで行く。

ラウターブルンネンの駅を降りて待っていたバスの運転手は、結構年齢がいっていた。わりに言葉が堪能だったので、いろいろ話していると、素姓がわかってきた。

年齢は６５をまわっている。
かつては、ウェンゲンやサンモリッツでホテルを経営していたが、今はそれを売って引退している。しかし、仕事はしたいので、バスを運転しているのだという。

ふうん、日本ではホテルの経営者が引退してバスの運転手をしているなんて、あまり考えられない事だと思う｡

それはつまり、日本では経営する側と使われる側がはっきり二分した労働構造になっているからかもしれない。そして職業というのもにも暗黙のランクがあり、ホテルを経営したような人は、決してバスなど運転しないのが日本なのだ。

逆に階級社会とされている欧米の方が、職業に貴賎はなく、現場の仕事が下級の仕事ではないと誰もが理解しているように思える。