アメリカの25セントコインは最近各州ごとの記念版を発行している。小さな円形の限られたデザインにそれぞれの歴史風土を反映させてあって読み解いていくのが面白い。今回ちょうどモニュメント・ヴァレーのあるユタ州のものが手に入ったのでじっくり観察してみた。
UHAH 1896 CROSSROAD OF THE WEST
山々を背景に二つの列車が出会っているシーンが描かれている。
これだけみても、二つの列車軌道がここで出会った事を記念しているのだというのが見てとれる。
しらべてみると1896年5月10日にプロモントリー峠という場所で、ユニオン・パシフィックとセントラル・パシフィックの二つの鉄道がついにつながったのであった。
二つの機関車の間に描かれているものは、二つの鉄道を結んだ最後のスパイク。通称黄金のスパイク(列車の線路を止めるもの)を表しているのだ。※これ、ほんとに黄金で出来たスパイクだったのかと思って調べたのですがわかりませんでした。さすがに使わないか、そんなものは…。
ユタは1896年に全米で45番目の州になっている。当時の鉄道の意味は今とは比較にならないぐらいに大きなものだったにちがいない。
このプロモントリーという場所、今でもきっと大陸鉄道の交差点として賑わっているのだろうと思って調べてみると、なんと数年でこのジャンクションは東のオグデンに移動になり、さらに鉄道の路線が変更になってプロモントリー自体から線路がなくなるという顛末になっていた。
写真中は1930年の鉄道地図。ソルトレイクシティの近くを探して、ようやくプロモントリーをみつけた。
それでももちろんアメリカの歴史の大事な場所なので、国家史跡に指定されており、現在でも写真下のように記念サイトになっているようだ。
コインの一番下に書かれた文字「E.PLURIBUS.UNUM」はラテン語で、「多数からできたひとつ」という意味。つまり、アメリカ合衆国をあらわす。建国当初のアメリカのモットーで、1956年以降「IN GOD WE TRUST」に変更されている。