アントワープから2時間ほどでオランダ最南端に突き出したマーストリヒトの町につく。ここは「マース川の渡し」としてローマ時代から集落があったらしい。
4世紀に亡くなったされる司教セルファースは聖人となる。生前ローマに行った際、(夢の中で?)十二使徒筆頭のペテロから天国の「合鍵」(おもしろいですね、ほんまに?)を与えられたと信じられ、セルファースの墓にはたくさんの巡礼がやってきた。プロテスタント優勢のオランダにおいて、ここはめずらしくカトリック優勢の町である。
昼食後、東に20分ほどでファルケンブルグという町へ。はじめていくところだが、今回のツアーの「売り」のひとつである。出発前、事務所には全然資料もなく、「行ったいことある」という同業仲間さえひとりもいなかった。
現地の手配をしている会社と打ち合わせをしても、HPですでに見た以上の情報は持っていない。しかし、引率する私が何も知らないのでは話にならないので、最後の頼みでオランダ政府観光局に電話をした。幸い親切な担当者で、やっと町の地図と英語版の案内をFAXしてもらうことが出来た。※政府観光局というのは、国によって大きく対応が違います。観光客に人気の国が親切かと、かならずしもそうじゃない(笑)。
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マーストリヒト近郊は古代からの石切り場がたくさんある。二千年前から掘り続けていれば穴は何十キロにもなっている。それらは住民の住処にも倉庫にもなっていた。第二次世界大戦中にはレンブラントの「夜警」もこういう場所に避難していた。
※ランタンを持って見学させてくれる「聖ペテロの岩穴」という分からないほど入り組んだ廃坑が、マーストリヒトから至近にあって、だいぶ以前にいちど入った事がある。たいへんおもしろかった。
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ファルケンブルは小さい町ながらオランダ唯一の丘の上の城(低地国なのでそうなんですね)がある。1853年には列車が開通し、温泉もあるというので19世紀から観光地だった。現在でもその駅舎が使われていて、オランダ最古だそうだ。なんと1885年にはこれまたオランダ最古のVVV=観光案内所が開設されている。
実際に行ってみると、木曜日の午後にもかかわらず、欧米人がたくさんやってきている。バスの駐車場からなんとなく町の中心へ向かって歩いていくと、想像したよりもだいぶん低い丘の上に城の廃墟が見えてきた。「へ〜、あれでオランダ唯一の丘の上の城なんだ」と、ちらっと思う。
石切り場あとを利用したクリスマス市はすぐに見つかった。入場料は3.5ユーロ。けっこう広いところらしく、この時期でなければ小さな観光列車が洞窟の奥まで連れて行ってくれる場所だそうだ。
クリスマス市に利用させれている部分も、入ってみるとかなりの広さだったが、お店自体はわりに地味目で、日用品やカバンなども売っている。華やかなオーナメント類といったものは、思ったより少ない印象である。
別の道へ行った方にはもうひとつの洞窟があり、こちらは子供用のクリスマス市が開催されている。これもまたチケットが必要だという。これは、次回また、ですな。
私はクリスマス市もさることながら、城と旧市街の方に興味があったのでそちらの方へ歩いていった。14世紀からのGRENDELPOORT門を入ると雰囲気が旧市街のそれにがらりとかわった。道幅は狭くなりレストランもたくさん並んで、観光地らしいたたずまいが増す。
すぐ後ろにはほんの百段ほどの階段でも登れてしまう程度だが、丘の上に城が見おろしている。町の中心部に石切り場跡から見つかった発掘物と町の絵画を納めた博物館があるが、入ってみている時間はない。
旧市街から抜けたあたりに小さな川が流れていて、そのたもとにオランダ最古のVVV=観光案内所があった。そこからさらに10分強歩くと石造りの駅に出た。「なんだか田園調布の駅みたいね〜」と感想が聞こえてくる。
この駅から旧市街までゆっくりした下り坂と川が流れている。周辺に19世紀の新市街形成とともに造られたとおぼしきホテルやカジノもならんでいる。こぶりながらなかなか風情のある町である。
このファルケンブルグでの滞在時間、合計二時間とった。が、これならば、もう少し時間をとってもよかったかもしれない。
しかし、今日のホテルも普通じゃ泊まれない「隠れ家」ホテルだから、少しは早く着きたいしね。